金曜日は、クー・ギャラリーで開催中の
『門川洋子展[Come Fly with Me]』でのトークショー
『門川洋子×坂川栄治』に行ってきました。
今回の作品は2部構成での展示になっているようです。
先ず、DMにもなっている妖精の世界、そして、様様な気球の漂う世界。
和紙にボールペンで描くという、独特なスタイル、均一な幅の線は、
静けさと画一さをもたらします。
緻密な線は、1枚の絵のアクセントとして存在し、五月蝿くなく、
しかし、重要な存在であることを主張する。
それは、無の空間と緻密な線の集合体が、絶妙なバランスで存在し、
緊張感を生み出しているから…と感じた。
ボールペンで描く様になったのは、試行錯誤からではなく、
たまたま家にあったモノを使ったら良かった…からだそうで、
しかし、その基本的な考えは、絵の具などを使うと、準備したり、
使用後用具の掃除をしたり、手入れをしたりという作業が、
めんどうだからだという隠れた裏付けがある。
何ともまぁ、合理的というか、ある意味ストイックというか、
描くということに時間も気持ちも注ぎたいんですね。
意外なことは、まだある。
なんと、長谷川町子さんのファンなのだそうだ。
そう、サザエさんの作者。
しかし長谷川さん、マンガの世界とは違う絵も描かれている。
ーサザエさんの軽やかさと面白さが好きーという門川さん
(門川さんのクールなイメージからするとこれも以外…
あっ、スミマセン)
その要素は、この気球のシリーズに表れていて、
気球にぶら下がっているモノが、以外で面白い。
魚、タコ、帽子に椅子…こういった、さらっと摩訶不思議な演出が面白。
サザエさんを読み込んでいるせいなのか。
ぶら下げているものは、メルヘンチックにならない様、
計算しているらしい。
気球というリアルなモチーフを幻想の世界のへ導く上手いアイテムだ。
そしてもう一つが、妖精のシリーズ。
花と妖精のシリーズも淡々と描かれおり、静かで品のある作品だ。
女性のヌードが描きたくて、妖精で描いたというが、
肌のつるっとした感じを隠したくて入れた点描が、
妖精感を増している気がする。
この妖精には、実在のモデルさんがいて、ポーズも空想ではない。
そういうところが、幻想の世界にリアル感をもたらせているのだろう。
幻想交響詩のマエストロ、門川さんの作品は、観る人の心の中で、
そのリズムを静かに反復させ、増幅させていく。
その静かなしらべに会えるのは、今月28日までです。